#11: 文書作成の完全攻略
「白紙」から書くのはもう終わり。AIによる8割完成の下書き術
📊 難易度: 中級
🎯 学習スキル: テンプレート設計、校正・推敲、トーン&マナー調整
導入
「企画書を書かなきゃ…」と思いながら、真っ白なWord画面の前で1時間フリーズした経験はありませんか?
ビジネスにおいて、ゼロから文章を考える時間は最もコストが高い「無駄」です。Week 11では、AIに「たたき台(ドラフト)」を瞬時に作成させ、人間は「編集長」として赤入れをするだけという、新しい文書作成フローを確立します。
報告書、提案書、メールなど、あらゆるビジネス文書を「テンプレート化」し、入力情報を渡すだけで80%完成した状態のアウトプットを手に入れる技術を習得します。
この章で登場する用語
学習内容:ライブ実演「企画書の爆速作成」
今回は「新規プロジェクトの企画書」を作成するプロセスを実演します。多くの人が悩むこのタスクを、AIを使ってどう攻略するか見ていきましょう。
あなたは総務部員です。「社内のコミュニケーション活性化のために、ビジネスチャットツールを導入したい」と考えていますが、どう企画書にまとめれば上司(保守的)を説得できるか悩み、手が止まっています。
Step 1: 失敗例(アイデア出しで終わる)
初心者は「内容」をAIに考えさせようとしてしまいます。
1. 目的:コミュニケーション活性化
2. メリット:情報共有のスピードアップ
3. デメリット:コストがかかる
…(一般的な内容が続く)
内容が薄く、このままでは提出できません。結局、Wordにコピペした後で、自分で肉付けする作業に何時間もかかってしまいます。
Step 2: テンプレート(型)に流し込む
ここでWeek 3のプロンプト技術を使います。AIに「中身」を考えさせるのではなく、「自分が持っている情報(材料)」を渡し、「指定した型(テンプレート)」に料理させるのです。
以下の[材料]を使い、[構成案]に従って、保守的な上司を説得できる企画書のドラフト(たたき台)を作成してください。
[材料]
– 導入ツール: Slack(無料プランから開始)
– 課題: メールだと堅苦しくて若手の発言が少ない
– 効果: 雑談が増えればアイデアも出るはず
[構成案]
1. 背景と課題(深刻さを強調)
2. 解決策の提案(スモールスタートであることを強調)
3. 期待される効果(定量的・定性的)
4. リスクと対策
【企画書案:コミュニケーションプラットフォームの試験導入について】
1. 背景と課題
現在、当社のコミュニケーションはメールが主体ですが、形式的なやり取りに終始し、特に若手社員の発言機会が損失しています。これは組織の硬直化を招く深刻な課題です。
2. 解決策の提案
ビジネスチャットツール「Slack」の試験導入を提案します。まずは「無料プラン」かつ「希望者のみ」の小規模スタートとし、コストと混乱のリスクを最小限に抑えます。
…
「無料プラン」「希望者のみ」といった具体的な情報を渡したことで、実用的なドラフトができました。これなら8割完成と言えます。
Step 3: 「編集長」として赤入れ(推敲)する
出てきた文章をそのまま使うのはNGです。AIは少し「優等生すぎる」文章を書く癖があります。最後に、あなたの色(会社らしさ)を加えます。
「組織の硬直化」といった難しい言葉を使わず、もう少し現場の切実さが伝わるような、熱量のあるトーンに書き換えてください。
1. 背景と課題(修正版)
「メールだと上司への報告が緊張してしまい、良いアイデアも出しにくい」
若手からそんな声が上がっています。今のままでは、社内の新しい風が止まってしまいます。もっと気軽に、自由に意見が飛び交う場所が必要です。
「型に流し込む(生成)」→「トーンを調整する(推敲)」。この2ステップを踏むだけで、ゼロから書くよりも圧倒的に早く、高品質な文書が完成します。人間は「考えること(材料出し)」と「判断すること(チェック)」に集中できます。
実践演習
それでは、皆さんの業務で最も頻繁に発生する「メール作成」を自動化するテンプレートを作ってみましょう。
演習課題:万能メール作成プロンプト
以下のプロンプトをコピーして、あなたの業務に合わせて [ ] の中身を変えて実行してみてください。
🤖 プロンプト例(メール作成テンプレート)
あなたはビジネスメールの達人です。
以下の[情報]を元に、相手に失礼がなく、かつ要件が端的に伝わるメールを作成してください。
# 相手の情報
– 名前: [〇〇株式会社 佐藤様]
– 関係性: [初めて連絡する相手 / 取引先 / 社内の上司]
# 伝えるべき要件 (箇条書き)
– [例: 来週の打ち合わせの日程調整をしたい]
– [例: 候補日は〇日と〇日]
– [例: オンライン(Zoom)で行いたい]
# 指定するトーン
– [丁寧・フォーマル / 親しみやすく・カジュアル / 謝罪の気持ちを込めて]
# 生成ルール
– 件名は具体的で分かりやすくする
– 時候の挨拶は[入れる / 省略する]
– 最後にネクストアクション(返信が欲しい等)を明確にする
このプロンプトをメモ帳などに保存しておき、メールを書くたびに[ ]の中身だけ書き換えてAIに投げれば、メール作成時間は数秒になります。これが自分専用の「メール秘書」です。
発展:AI校正(セルフチェック)
自分で書いた文章を、送信前にAIにチェックさせるのも賢い使い方です。
🤖 プロンプト例(校正)
以下の[文章]を校正してください。
誤字脱字の修正だけでなく、「もっと分かりやすい表現」や「誤解を招きそうな表現」があれば指摘し、修正案を提示してください。
# 文章
(ここに自分が書いたメールや資料の文章を貼る)
まとめ
Week 11では、文書作成を自動化し、品質を保証する方法を学びました。
プロのライターや編集者も、今はAIを使っています。「AIに80点の下書きを書かせ、人間が100点に仕上げる」。この協働プロセスこそが、AI時代のスタンダードです。もう白紙の前で悩む時間は終わりです。
- 文章はゼロから書かない。「材料」と「構成」を渡してAIに書かせる。
- AIの文章は必ず人間が「推敲(トーン調整)」する。
- 重要なメールや資料は、送信前にAIに「校正」させる。
よくある質問
Q1: AIが書いた文章だとバレませんか?
A1: そのまま使うとバレる(AI特有の硬さがある)ことがあります。だからこそ、Step 3の「推敲」が重要です。文末を「〜です・ます」から少し崩したり、自分の口癖を入れたりするだけで、完全に自分の文章になります。
Q2: 専門的な内容の資料も書けますか?
A2: AIは一般的な知識しか持っていません。専門的な内容を書かせる場合は、その根拠となるデータや社内資料をプロンプト内で「参照情報」として渡す必要があります(Week 10のRAG/Few-Shot技術の応用)。
スキルチェックリスト
- ✅「材料」と「構成」を渡して、AIに文書の下書きを作らせることができる
- ✅AIの文章に対し、トーン&マナーを調整する指示が出せる
- ✅AIを使って、自分の文章の誤字脱字や表現をチェックできる
活用する基礎スキル
成果物
- 自分専用の「万能メール作成プロンプト」
- AIと協働して作成した企画書または報告書のドラフト
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