#13: 企画・管理部門への応用
AIを「戦略参謀」にし、意思決定の質とスピードを最大化する
📊 難易度: 中級
🎯 学習スキル: クロスSWOT分析、シナリオプランニング、意思決定支援
導入
企画や管理部門の仕事は、「調整」や「計画作成」が多く、正解がないため時間がかかりがちです。「来期の事業計画を作って」と言われて、何日も悩み続けた経験はありませんか?
AIは、単なる計算機ではありません。膨大な知識と論理的思考力を持つ「優秀な経営コンサルタント」です。Week 13では、ビジネスフレームワークを使ってAIに戦略を立案させ、あなたの意思決定を強力にサポートさせる技術を学びます。
💡 この週で得られること
SWOT分析などのフレームワークをAIに適用し、客観的で説得力のある事業計画や改善案を短時間で作成できるようになります。
この章で登場する用語
📖 この章で登場する用語
学習内容:ライブ実演「来期の戦略策定」
今回は「ある部署の来期戦略を作る」という、非常に抽象度が高く難しいタスクに挑みます。
あなたは総務課長です。社長から「来期は攻めの総務を目指せ。具体的な戦略を出してくれ」と言われました。しかし、日々の業務に追われてアイデアが出ず、困り果てています。
Step 1: 失敗例(アイデア出しで終わる)
まずはAIに丸投げしてしまう悪い例です。
1. コスト削減の徹底
2. 社員満足度の向上
3. オフィスのリニューアル
4. DXの推進
これらはいかがでしょうか?
❌ 残念ポイント
一般的すぎて、「なぜそれをやるのか(根拠)」がありません。これでは社長を説得できません。
Step 2: クロスSWOT分析で「勝ち筋」を見つける
ここで経営戦略のセオリー「クロスSWOT分析」を使います。
「強み・弱み(内部要因)」と「機会・脅威(外部要因)」を書き出し、それらを掛け合わせて「独自の戦略」をAIに導き出させます。
あなたは「戦略コンサルタント」です。以下の[現状分析]を基に、「クロスSWOT分析」を行い、来期の戦略オプションを3つ提案してください。[現状分析]
– 強み: 勤続年数が長いベテランが多く、業務知識が豊富
– 弱み: 紙文化が根強く、ITリテラシーが低い
– 機会: 生成AIなどの便利なツールが登場している
– 脅威: 若手社員の離職率が少し上がっている
AI: 承知いたしました。クロスSWOT分析に基づき、以下の「攻めの総務」戦略を提案します。
戦略A:強み×機会(ベテラン知見×AI)
「ベテランの業務知識(暗黙知)をAIに学習させ、社内FAQボットを構築する」。これにより、ベテランの負担を減らしつつ、全社員の業務効率を上げる。
戦略B:弱み×脅威(IT苦手×離職)
「若手が働きやすいデジタル環境の整備」。紙文化を撤廃し、スマホで申請できる環境を作ることで、若手の離職を防ぐ。
…
✅ 改善ポイント
「ベテランの知識」と「AI」を掛け合わせるという、自社ならではの具体的で説得力のある戦略が生まれました。これがフレームワークの力です。
Step 3: シナリオプランニングで未来を予測する
戦略が決まったら、次は計画です。しかし、未来は予測できません。そこで「シナリオプランニング」を使います。「最高の場合」と「最悪の場合」を事前にAIにシミュレーションさせることで、想定外をなくします。
このプロジェクトを実行するにあたり、「楽観シナリオ」「悲観シナリオ」「現実シナリオ」の3パターンで、半年後の成果とリスクを予測してください。
AI: 3つのシナリオを予測します。
🌞 楽観シナリオ:
ベテランが積極的に協力し、高精度なボットが完成。問い合わせが80%減少し、総務部は企画業務に専念できる。
☁️ 悲観シナリオ:
「AIなんて分からない」とベテランが反発。データが集まらずボットが賢くならない。誰も使わずプロジェクト頓挫。
⛅ 現実シナリオ:
一部の理解ある社員から協力を得る。問い合わせは30%減。完全自動化は難しいが、効果は実感できる。
推奨対策: 悲観シナリオを避けるため、プロジェクト初期に「ベテラン社員へのヒアリング会」を丁重に行い、巻き込むことが重要です。
💡 結論
「ベテランの反発」という最大のリスクが事前に見えました。これにより、「AIツールの選定」よりも「社内根回し」を優先すべきだという、具体的なアクションが見えてきます。
実践演習
それでは、AIを使ってあなたの部署の戦略を練ってみましょう。
演習課題:自部署のクロスSWOT分析
あなたの部署やチームの状況を箇条書きにして、AIに戦略を提案させてください。
🤖 プロンプト例(クロスSWOT)
あなたは経営戦略のプロです。
以下の[自部署の状況]を元に、クロスSWOT分析を行い、来期の戦略案を3つ提案してください。
# 自部署の状況 (YAML)
部署名: [例: 経理部]
強み: [例: 正確性、ミスが少ない]
弱み: [例: 残業が多い、属人化している]
機会: [例: インボイス制度対応でシステム導入の予算が出た]
脅威: [例: 採用難で人が増えない]
# Role (役割)
論理的かつ実現可能性を重視するコンサルタント
# Output Format
1. **分析**: 各要素の掛け合わせ(強み×機会など)の解説
2. **戦略案**: 具体的なアクションプラン3つ
3. **期待効果**: それぞれの戦略で得られるメリット
発展:会議のアジェンダ(進行表)作成
戦略を実行するには会議が必要です。AIにファシリテーターになってもらい、無駄のない会議アジェンダを作らせましょう。
🤖 プロンプト例(会議設計)
来週、「新戦略のキックオフ会議(60分)」を行います。
参加者は部長、課長、メンバーの計5名です。
この会議で「全員の合意形成」と「役割分担の決定」を完了させるための、詳細なアジェンダ(時間配分付き)を作成してください。
# ポイント
– 冒頭で「なぜやるか」をしっかり伝える時間を取る
– 質疑応答の時間を十分に確保する
– 最後にネクストアクションを決める
まとめ
Week 13では、企画・管理部門における「意思決定」と「戦略立案」へのAI活用を学びました。
- アイデア出しではなく、「フレームワーク(SWOTなど)」を使ってAIに分析させる。
- 未来は一本道ではない。「シナリオプランニング」で複数の未来を予測する。
- AIを「壁打ち相手」にすることで、孤独な意思決定から解放される。
次回Week 14では、客観的な意思決定に不可欠な「データ分析」を学びます。数字が苦手な人こそ、AIの力を借りるべき領域です。
✅ 明日から使える3つのポイント
- 悩んだら「SWOT分析して」とAIに投げてみる。
- 「最悪のシナリオは?」とAIに聞いてリスクを洗い出す。
- 会議のアジェンダはAIに作らせて、進行のモレを防ぐ。
よくある質問
Q1: フレームワークを知らなくても使えますか?
A1: はい、大丈夫です。「この課題を分析するのに最適なフレームワークを選んで、それで分析して」とAIに頼めば、勝手に選んで(例えば3C分析や4P分析など)実行してくれます。
Q2: AIが出した戦略はそのまま使えますか?
A2: そのままでは「一般論」になりがちです。AIが出した案を見て、「うちは予算がないから低コストな案に変えて」や「競合他社はここが強いから、そこを避ける案にして」と、あなたの知見を加えて修正することで、使える戦略になります。
スキルチェックリスト
- ✅自社の状況を整理し、AIにクロスSWOT分析をさせることができる
- ✅シナリオプランニングを使って、楽観・悲観の両面から計画を検証できる
- ✅会議のアジェンダ作成をAIで行い、準備時間を短縮できる
活用する基礎スキル
成果物
- 自部署のクロスSWOT分析シート
- AIが作成した次期戦略プラン(3つのシナリオ付き)
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