#14: データ分析入門

#14: データ分析入門

関数もマクロも不要。AIと会話して「数字」を「戦略」に変える技術

⏱️ 学習時間: 180-240分
📊 難易度: 中級
🎯 学習スキル: DIKWピラミッド、データクレンジング、インサイト抽出

導入

「売上データを分析して」と言われて、Excelの前で固まってしまったことはありませんか? 多くのビジネスパーソンにとって、データ分析は「面倒で難しい作業」です。

しかし、AIを使えば状況は一変します。複雑な計算式を覚える必要はありません。AIにファイルを渡し、「ここから何が言える?」と聞くだけで、プロ顔負けの分析とグラフが出てきます。Week 14では、データをただの数字で終わらせず、次のアクションに繋げるための思考法と実践術を学びます。

💡 この週で得られること

手元のExcelやCSVデータをAIに読み込ませ、傾向を分析し、グラフ化し、最終的に「明日どうすればいいか」という具体的な提案まで自動で引き出すスキルを習得します。

この章で登場する用語

📖 この章で登場する用語

構造化データ (Structured Data) ExcelやCSVのように、行と列できれいに整理されたデータのこと。AIが最も分析しやすい形式です。
データクレンジング 分析の前に、データの入力ミスや表記ゆれ(例: ㈱と株式会社)を直して綺麗にすること。AIなら一瞬で終わります。
インサイト (Insight) 単なる「数値」の裏にある「洞察」や「発見」。例:「売上が落ちた(事実)」→「20代女性の客離れが原因だ(インサイト)」。

学習内容

1. データの進化論「DIKWピラミッド」

データをビジネスに活かすには、ただ集めるだけでは意味がありません。データを「知恵(Wisdom)」にまで昇華させるプロセス、それが「DIKWピラミッド」です。

多くの人はExcelとにらめっこして「Information」止まりになりますが、AIを使えば一気に「Wisdom」まで駆け上がることができます。

階層 定義 AIへの指示例
1. Data (データ) 生の数字や事実。
例:売上表
「このファイルを読み込んで」
2. Information (情報) 整理されたデータ。
例:月別売上グラフ
「月ごとの推移をグラフにして」
3. Knowledge (知識) 傾向や法則。
例:夏に売上が下がる
「売上が下がっている原因を分析して」
4. Wisdom (知恵) 未来への行動指針。
例:7月に販促を行う
「来月、具体的にどんな対策を打つべき?」

2. AIによる「データクレンジング」の自動化

分析作業の8割は「データ整理」だと言われます。表記のゆれ、空白、重複…これらを人間が修正するのは時間の無駄です。

AIに「このデータ、分析しやすいように綺麗にして」と頼むだけで、一瞬でクレンジングが完了します。この「下準備」をAIに任せるのが、分析成功の第一歩です。

3. AIに「問い」を立てさせる

データを見ても「何を見ればいいか分からない」という場合、AIに質問を考えさせましょう。
「経営者の視点で、このデータから確認すべき重要なポイントを3つ挙げて」と指示すれば、AIが論点(売上構成比、成長率など)を提示してくれます。

学習内容:ライブ実演「売上データの深掘り」

それでは、架空の「店舗売上データ(CSV)」を使って、DIKWピラミッドを駆け上がるプロセスを実演します。

📝 課題:売上減少の原因特定
あなたは小売店の店長です。最近、売上がなんとなく下がっている気がしますが、商品が多すぎて何が原因か分かりません。手元には、POSレジから落としたCSVデータがあります。

Step 1: Data → Information(可視化)

まずは生のデータをAIに渡し、人間が見てわかる「グラフ(情報)」に変換させます。

あなた: (CSVファイルを添付)
これは過去1年間の売上データです。月ごとの売上推移を棒グラフにして可視化してください。また、データに不備があれば修正してください。
AI: 承知いたしました。データを読み込みました。
一部、日付形式が不揃いだったため統一しました。こちらが月次売上の推移グラフです。(グラフを表示)
全体的に右肩下がりで、特に「直近3ヶ月の落ち込み」が目立ちますね。

✅ 改善ポイント

一瞬で「直近3ヶ月がヤバい」という事実(Information)が判明しました。自分で集計していたら、これだけで半日かかっていたでしょう。

Step 2: Information → Knowledge(分析)

次に、なぜ落ち込んでいるのか「知識(原因)」を探ります。AIに深掘りを指示します。

あなた: 直近3ヶ月の落ち込みの原因を知りたいです。
「商品カテゴリ別」または「曜日別」で分析し、足を引っ張っている要因を特定してください。
AI: 分析結果が出ました。
要因は「雑貨カテゴリ」の売上急減です。食品カテゴリは横ばいですが、雑貨が前年比60%まで落ちています。
さらに細かく見ると、特に「文房具」の購入数が激減しています。

Step 3: Knowledge → Wisdom(アクション)

原因が分かっただけでは意味がありません。最後に「どうするか(知恵)」をAIと考えます。

あなた: 文房具が原因だとわかりました。あなたは「売上改善のコンサルタント」です。
この状況を踏まえ、来月実行すべき具体的な対策を3つ提案してください。予算はあまりかけられません。

AI: 承知いたしました。低予算でできる文房具のテコ入れ策を提案します。

1. セット販売(抱き合わせ):
好調な「食品」とセットで買うと割引になるキャンペーンを実施し、ついで買いを誘発する。

2. レイアウト変更:
文房具売り場が死角になっていませんか? レジ横などの目立つ場所に「今月のおすすめ文具」コーナーを設置する。

3. 在庫処分セール:
動いていない商品は早めにセールで現金化し、売れ筋の商品に入れ替える。

💡 結論

ただのCSVファイルから、「レジ横に文具を置こう」という具体的なアクション(Wisdom)が生まれました。これがデータ分析のゴールです。

実践演習

それでは、皆さんの手元にあるデータを使って分析してみましょう。データがない場合は、架空のデータを作成するプロンプトも用意しました。

演習課題:身近なデータのDIKW分析

売上データ、アンケート結果、あるいは家計簿データでも構いません。AIに読み込ませて、改善策を出させてみましょう。

🤖 プロンプト例(データ分析一括実行)

あなたはプロのデータアナリストです。
添付したデータを分析し、以下のステップでレポートを作成してください。

# Step 1: Data Cleaning & Visualization
– データの不備があれば修正してください。
– データの全体像がわかるグラフを作成してください。

# Step 2: Insight Extraction (Knowledge)
– データから読み取れる「特筆すべき傾向」や「異常値」を3点挙げてください。
– なぜそうなっているのか、仮説を立ててください。

# Step 3: Action Plan (Wisdom)
– この分析結果に基づき、今後とるべき具体的なアクションを提案してください。

💡 実務での活用ヒント

ChatGPTの「Advanced Data Analysis」機能を使うと、グラフの描画まで自動でやってくれます。出力されたグラフは画像として保存し、そのまま会議資料に貼り付けられます。

まとめ

Week 14では、データ分析の壁を取り払いました。

  • 分析の目的は「きれいなグラフを作ること」ではなく「アクション(知恵)を決めること」
  • 面倒な集計やクレンジングは全てAIに任せる。
  • 人間は、出てきた結果を見て「意思決定」することに集中する。

次回Week 15は、AI活用の守りの要、**「リスクマネジメント(ハルシネーション対策やセキュリティ)」**を学びます。攻めと守りが揃って初めて、AI活用は完成します。

✅ 明日から使える3つのポイント

  • 数字のファイルをもらったら、とりあえずAIに読み込ませてみる。
  • 「このデータから何が言える?」とAIに問いかける癖をつける。
  • 分析結果が出たら必ず「で、どうすればいい?」とネクストアクションを聞く。

よくある質問

Q1: どのAIツールがデータ分析に最適ですか?

A1: 現時点では、OpenAIのChatGPT (GPT-4o)のデータ分析機能が最も強力です。ファイルの読み込み、Pythonによる計算、グラフ描画まで一貫して行ってくれます。Claude 3.5 Sonnetもコード生成能力が高く、分析に向いています。

Q2: AIの計算は間違えませんか?

A2: 稀に計算ミスをすることがあります。重要な数値(決算など)の場合は、AIに「計算過程(Pythonコード)を表示して」と指示し、ロジックが合っているか確認するか、Excelで検算することをお勧めします。

スキルチェックリスト

  • ExcelやCSVファイルをAIに読み込ませることができる
  • DIKWピラミッドを理解し、データからアクションを導き出せる
  • AIを使って、データをグラフで可視化できる

活用する基礎スキル

  • Week 4: デジタル思考③(マルチモーダル・ファイル読み込み)
  • Week 10: 高度なプロンプト(推論・分析)

成果物

  • 自社データを分析した簡易レポート(グラフ付き)
  • データから導き出した「来月の具体的なアクションプラン」
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