#17: 業務改善プロジェクト設計
「なんとなく便利」は卒業。投資対効果(ROI)が見える企画書を作る
📊 難易度: 中上級
🎯 学習スキル: プロジェクトチャーター、ROI算出、ゴール設定
導入
いよいよPhase 3、最終プロジェクトの始動です。ここからの8週間で、皆さんは自分の業務を変革する「実プロジェクト」を完遂させます。
プロジェクトの成否は、最初の設計図で9割決まります。「AIを使って何かしたい」という曖昧な動機では、途中で挫折します。Week 17では、AIを参謀にして、「なぜやるのか?」「成功とは何か?」を定義した、強固なプロジェクト計画書(プロジェクトチャーター)を作成します。
💡 この週で得られること
「月間〇〇時間の削減」「〇〇万円の利益創出」といった、数字で語れる目標(KGI)を設定し、誰に見せても納得されるプロジェクト企画書をAIと作成できるようになります。
この章で登場する用語
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学習内容:ライブ実演「企画書を『作品』から『戦略』へ」
今回は、「営業資料の作成効率化」という、よくあるテーマを例に、AIを使って「絶対に承認される企画書」に磨き上げるプロセスを実演します。
あなたは営業部のリーダーです。「部下が資料作りに時間をかけすぎて、顧客訪問の時間が減っている」という問題意識を持っています。AIを使って解決したいですが、どう企画にすればいいでしょうか?
Step 1: 失敗例(目的が「AIを使うこと」になっている)
まずは、手段が目的化してしまっている悪い例です。
タイトル:営業部へのChatGPT導入
目的:最新技術を取り入れ、資料作成を効率化する
内容:全社員にアカウントを配る
予算:月額〇〇円
❌ 残念ポイント
「効率化」は分かりますが、「で、いくら儲かるの?」という経営視点が抜けています。これでは「コストがかかるだけ」と判断され、却下されます。
Step 2: ROI(投資対効果)を計算させる
ここでAIを「経営コンサルタント」にします。単なる時短ではなく、**「浮いた時間で何をするか(利益創出)」**まで言及させます。
以下の前提条件で、AI導入プロジェクトのROI(投資対効果)を試算してください。[前提]
– 対象: 営業マン 10名
– 現状: 資料作成に1日2時間使っている
– 変化: AI導入で作成時間が30分になる(1.5時間削減)
– 活用: 浮いた時間は全て「テレアポ」に使い、アポ獲得率は5%とする
– 単価: 1案件の利益は10万円とする
AI: 試算しました。これは投資すべき案件です。
【コスト削減効果】
1.5h × 10名 × 20日 = 月間300時間の創出
【利益創出効果(ここが重要)】
300時間でテレアポ(1件10分と仮定)= 1,800コール
アポ獲得(5%)= 90件
成約(仮に20%)= 18件
追加利益 = 18件 × 10万円 = 月間180万円
AIツールのコストが月数万円だとしても、ROIは数千%になります。
✅ 改善ポイント
「月間180万円の利益が出る」という数字が出ました。これで、このプロジェクトは「コスト」ではなく「投資」に変わりました。これが経営層に刺さるロジックです。
Step 3: プロジェクトチャーターの完成
最後に、このロジックを1枚の企画書にまとめます。
項目:プロジェクト名、背景、KGI(定量目標)、スコープ(やること/やらないこと)、スケジュール概算
AI: 承知いたしました。
# 営業資料作成自動化プロジェクト
**1. 目的(Mission)**
事務作業時間を「顧客接点時間」に転換し、売上を最大化する。
**2. 目標(KGI/KPI)**
– KGI: 月間追加利益 180万円の創出
– KPI: 資料作成時間 1日30分以内(75%削減)
**3. スコープ**
– IN(やること): 提案書テンプレート作成、AIプロンプト開発
– OUT(やらないこと): 全社展開(まずは営業1課のみで実施)
…
💡 結論
「何をやるか」だけでなく「何をやらないか(スコープ)」まで定義された、プロレベルの企画書が完成しました。これをベースにすれば、承認確率は格段に上がります。
実践演習
それでは、あなた自身の「最終プロジェクト」を設計しましょう。これがWeek 24までのロードマップになります。
演習課題:マイ・プロジェクトの定義
あなたの業務の中で「AIで変えたいこと」を1つ選び、企画書を作成してください。
🤖 プロンプト例(企画書生成)
あなたはプロジェクトマネジメントの専門家です。
以下の[アイデア]を、経営層に承認されるレベルの「プロジェクトチャーター」に昇華させてください。
# アイデア
– [例: 問い合わせ対応にAIチャットボットを入れたい]
– [例: チームのシフト作成をAIで自動化したい]
# 必須項目 (Format)
1. **プロジェクト名**: 魅力的で分かりやすい名前
2. **背景と課題**: なぜ今、やる必要があるのか?(コストや機会損失の観点で)
3. **ROI試算**: 概算で良いので、「投資額」と「得られるリターン」を数値化
4. **リスク**: 想定される懸念点とその対策
# Role
論理的かつ情熱的なプロジェクトリーダー
💡 実務での活用ヒント
ROIの試算に必要な数字(時給、件数など)が分からない場合は、AIに「一般的な業界平均値を使って試算して」と指示すれば、仮説ベースの数字を出してくれます。
まとめ
Week 17では、成果を出すためのスタートラインである「プロジェクト設計」を行いました。
- 「便利そう」ではなく「儲かる(またはコストが減る)」というロジックを作る。
- AIにROI(投資対効果)を計算させることで、説得力を高める。
- 「やらないこと(スコープ外)」を決めて、小さく確実に成功させる。
この企画書が、あなたのこれからの道標(ミッション)となります。次回からは、この計画に基づいて実際に手を動かし、タスクを実行していくフェーズに入ります。
✅ 明日から使える3つのポイント
- 何かを提案する時は、必ず「数字(ROI)」を添える。
- AIに「辛口の投資家」の役をやらせて、自分のアイデアを壁打ちする。
- プロジェクトは「小さく始めて(スモールスタート)、大きく育てる」計画にする。
よくある質問
Q1: ROIが出にくい業務(総務や人事など)はどうすればいいですか?
A1: 「削減時間 × 人件費」でコスト削減効果を出すのが基本です。さらに、「空いた時間で社員ケアをすることで、離職率を〇%下げる(採用コスト〇〇万円の削減)」といったロジックで価値を金額換算することも可能です。AIにアイデアを聞いてみましょう。
Q2: 一人でやるプロジェクトでも企画書は必要ですか?
A2: 絶対に必要です。一人プロジェクトこそ、誰も止めてくれないので迷走しがちです。「自分との約束」として、ゴールと範囲を明文化しておきましょう。
スキルチェックリスト
- ✅自分のプロジェクトのKGI(最終ゴール)を数字で言える
- ✅AIを使ってROI(投資対効果)を試算できる
- ✅プロジェクトのスコープ(範囲)を明確に定義できる
活用する基礎スキル
成果物
- 業務改善プロジェクトチャーター(企画書)
- ROI試算シート
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