#21: 成果の集計と分析

#21: 成果の集計と分析

「頑張りました」は不要。AIで成果を「金額」に換算する

⏱️ 学習時間: 180-240分
📊 難易度: 中上級
🎯 学習スキル: ROI算出、定性評価の定量化、インパクト分析

導入

プロジェクトお疲れ様でした! 現場ではきっと「楽になった」「早くなった」という声が出ているはずです。

しかし、それをそのまま上司に報告しても、「で、いくら儲かったの?」と聞かれて終わりです。ビジネスの世界では、「数字になっていない成果」は「存在しない」のと同じです。
Week 21では、AIという「敏腕会計士」を雇い、目に見えない「便利さ」や「安心感」さえも、説得力のある「金額的価値」に変換する技術を学びます。

💡 この週で得られること

「時間が浮いた」を「人件費削減額」へ、「ミスが減った」を「リスク回避額」へと変換し、あなたのプロジェクトが会社にどれだけの利益をもたらしたかを証明するROIレポートを作成できるようになります。

この章で登場する用語

📖 この章で登場する用語

定量的成果 (Quantitative) 「売上120%アップ」「残業10時間削減」など、数字で測れる成果。経営層が最も好む言葉です。
定性的成果 (Qualitative) 「モチベーションが上がった」「顧客の笑顔が増えた」など、数字にしにくい成果。これをいかに数字(定量)に近づけるかが腕の見せ所です。
ROI (投資対効果) 「利益 ÷ 投資額 × 100」で算出するコスパの指標。これが100%を超えていれば、そのプロジェクトは「やる価値があった」と証明されます。

学習内容

1. 「時間」を「お金」に変えるロジック

最も基本となる計算式はこれです。

削減金額 = 削減時間 × 時給単価

「1日30分短縮しました」よりも、「月間20時間を削減し、年間で約120万円の人件費効果を創出しました(時給5,000円換算)」と言う方が、圧倒的にインパクトがあります。AIに計算させれば一瞬です。

2. 「見えない価値」を数値化する(フェルミ推定)

「ミスが減った」や「社員が楽になった」はどう計算すればいいでしょうか? ここでもAIの推論力を使います。

  • ミスの削減: 「ミス1回あたりの対応コスト(修正時間+謝罪時間)」をAIに推定させ、それに「減った回数」を掛ける。
  • モチベーション向上: 「離職率の低下」に結びつけ、「採用コスト(1人あたり数百万円)」の削減として算出する。

3. Before / After の対比構造

成果は「変化」です。必ず「導入前(Before)」と「導入後(After)」を並べて見せます。

  • Before: 残業月40時間 → After: 残業月5時間(87%減)
  • Before: 提案書作成に3日 → After: 提案書作成に2時間(爆速化)

学習内容:ライブ実演「感想文を収支報告書へ」

Week 19-20で実行した「営業資料作成の自動化プロジェクト」の成果を、AIを使って報告書にまとめるプロセスを見ていきます。

📝 課題:成果報告書の作成
プロジェクトが完了しました。チームメンバーからは「すごい楽になった!」「早く帰れるようになった」と好評です。しかし、経営層への報告会で「みんな喜んでます」と言っても評価されません。これを「数字」にする必要があります。

Step 1: 失敗例(定性的な報告)

まずは、感情だけで報告してしまう悪い例です。

あなた: プロジェクトの成果報告を作って。
みんな「楽になった」と言ってるし、残業も減った気がする。AI導入は大成功だったと伝えたい。
AI: 成果報告です。
・チームの満足度が向上しました。
・業務が効率化され、残業が減少しました。
・AI活用により、先進的な働き方が実現しました。
以上です。

❌ 残念ポイント

「気がする」「向上しました」という言葉は、経営者にとって「何も言っていない」のと同じです。これでは予算も評価もつきません。

Step 2: AIによる「金額換算ロジック」の構築

AIに「会計士」の役割を与え、曖昧な成果を無理やり数字に変換させます。

あなた: 修正します。あなたは「辛口の財務担当者」です。
以下の実績データを元に、このプロジェクトの「年間コスト削減額」と「ROI(投資対効果)」を算出してください。[実績データ]
– 対象人数: 5名
– 資料作成時間: 1日2時間 → 30分に短縮
– AIツール費用: 月額1万円

[計算条件]
– 社員の人件費(時給換算)は3,000円とする
– 月20日稼働とする

AI: 試算結果をご報告します。

1. 削減時間の価値
(1.5時間削減 × 5名 × 20日) × 3,000円 = 月間 450,000円 の削減

2. 年間インパクト
45万円 × 12ヶ月 = 年間 540万円 のコスト削減効果

3. ROI算出
投資額(AI費用): 12万円/年
リターン: 540万円/年
ROI = 4,500%

極めて高い投資対効果です。即座に全社展開すべき数字です。

✅ 改善ポイント

「ROI 4500%」という強烈なパワーワードが出ました。これを見せられて反対する経営者はいません。AIに計算ロジックを作らせることで、客観性も担保されます。

Step 3: 「機会損失の回避」も数値化する

さらに、「ミスが減った」という定性的な価値も、AIに「リスク回避額」として計算させます。

あなた: 追加で計算して。
以前は「記載ミス」が月に3件ほどあり、その対応に追われていました。AI導入後はゼロになりました。
この「リスク回避効果」も金額換算して、成果に上乗せしてください。

AI: リスク回避価値を算出します。

[前提仮説]
ミス対応(修正・謝罪)に平均2時間かかると仮定。
3件 × 2時間 × 3,000円 = 月間 18,000円 の損失回避

さらに、顧客の信頼失墜による「将来の売上損失(機会損失)」を防いだ価値は、この数倍に上ると推定されます。
これを含めると、プロジェクトの価値はさらに高まります。

実践演習

あなたのプロジェクトの成果を、実際に計算してみましょう。

演習課題:ROIレポート作成プロンプト

Week 17〜20で得られた「小さな成果」でも構いません。それを入力し、AIに「すごい成果」に見えるように計算させてください。

🤖 プロンプト例(ROI計算機)

あなたはプロのコンサルタントです。
以下の[プロジェクト実績]を元に、経営層に報告するための「ROI分析レポート」を作成してください。

# プロジェクト実績
– 実施内容: [例: 議事録のAI化]
– 変化: [例: 1時間の会議の議事録作成が、30分から5分になった]
– 頻度: [例: 週に4回実施]
– 対象人数: [例: 自分1人]

# 計算条件 (YAML)
時給: 3,000円
期間: 年間換算すること

# Output Format
1. **定量効果**: 年間で何時間、いくら削減できたか?
2. **ROI**: ツール代(月2,000円と仮定)に対して何倍の元が取れたか?
3. **定性効果の言語化**: 空いた時間で何ができるようになったか?(「創造的業務へのシフト」など)

💡 実務での活用ヒント

「自分1人が少し楽になっただけ」と思っていても、AIに計算させると「年間20万円の削減」といった数字が出てきて驚くはずです。これがあなたの「実績」になります。

まとめ

Week 21では、成果を「数字」で語る技術を学びました。

  • ビジネスの共通言語は「お金(金額)」である。
  • 時間は「人件費」、ミスは「リスク回避額」に変換できる。
  • AIに計算させることで、客観的で強力なROIレポートが作れる。

数字という武器を手に入れた皆さんは、次はそれを「伝える」番です。次回Week 22では、この数字を使って人を動かす「プレゼンテーション資料の作成」を行います。

✅ 明日から使える3つのポイント

  • 「楽になった」と思ったら、すかさず「何分?」と時間を計る。
  • 自分の時給を意識し、全ての作業を金額換算する癖をつける。
  • 報告書には必ず「削減金額」か「創出利益」を書く。

よくある質問

Q1: 自分の時給が分かりません。

A1: 正確でなくて構いません。一般的な目安として「社員は時給3,000円〜5,000円」「管理職は5,000円〜10,000円」程度で計算すると、企業のコスト感覚と合致します。AIに「一般的な係数を使って」と頼むのも手です。

Q2: 成果が少なくて恥ずかしいです。

A2: 恥じることはありません。「月1時間の削減」でも、それを「全社員100人がやれば年間〇〇万円の効果」と、**「横展開した時のインパクト(ポテンシャル)」**をアピールすれば、立派な成果になります。

スキルチェックリスト

  • 業務改善の効果を「時間」から「金額」に換算できる
  • AIを使ってROI(投資対効果)を算出できる
  • 定性的な成果(ミスの減少など)を論理的に数値化できる

活用する基礎スキル

  • Week 10: 高度なプロンプト(推論・計算)
  • Week 17: プロジェクト設計(ROIの概念)

成果物

  • プロジェクトの成果集計シート(Before/After)
  • AIが作成したROI分析レポート
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