#3: デジタル思考②:構造化プロンプトの実践
マークダウンとYAMLを使いこなし、AIに「役割」と「正解」を完璧に伝える
📊 難易度: 初級〜中級
🎯 学習スキル: 構造化プロンプト、YAMLによる役割定義、Few-Shot
導入
Week 2では「情報を整理する記法(マークダウン・YAML)」を学びました。Week 3では、その記法を使って、AIへの指示書(プロンプト)をプロレベルに引き上げる技術を学びます。
AIに複雑な「役割(Role)」を与えたり、「例(Example)」を見せたりする時、普通の文章で書くとAIは混乱します。ここで役立つのが、構造化の技術です。「役割はYAMLで、例はマークダウンで」と使い分けることで、AIはあなたの意図を100%理解できるようになります。
💡 この週で得られること
「マークダウン」と「YAML」を実際のプロンプトの中でどう使うかを習得します。これにより、複雑な条件や役割設定を含んだ指示でも、AIが誤解なく実行できるようになります。
この章で登場する用語
📖 この章で登場する用語(復習と応用)
学習内容
1. 役割(Role)は「YAML」で定義する
「あなたはプロのライターです」と一行書くだけでは不十分です。どんなライターなのか? ターゲットは? 禁止事項は? これらを普通の文章で書くと長くなり、AIが見落とす原因になります。
そこで、条件設定に強いYAML形式を使います。
❌ 普通の文章(曖昧になりやすい)
あなたはプロのライターとして振る舞ってください。ターゲットは30代の男性で、トーンは少し厳しめでお願いします。あ、でも専門用語は使わないでください。文字数は400文字くらいで。
✅ YAML形式(AIが理解しやすい)
職業: プロのライター
ターゲット: 30代男性
トーン: 厳格、論理的
禁止事項: 専門用語の使用
文字数: 400文字前後
💡 なぜYAMLなのか?
AIにとって、YAML(項目: 値)は「設定ファイル」のように見えます。「ここに書かれていることは絶対ルールだ」と認識されやすくなるため、指示を守る確率が格段に上がります。
2. 例(Few-Shot)は「マークダウン」で区切る
AIに「例」を見せるとき、どこからどこまでが例なのか分からないと、AIは例を本文だと勘違いして続きを書いてしまうことがあります。
マークダウンの見出し(#)や区切り線(—)を使うことで、「ここは例だよ」「ここからが本番だよ」とAIに視覚的に伝えます。
🤖 プロンプト記述例
# Output Example (出力例)
—
**悪い例:**
昨日は雨でした。
**良い例:**
昨日は涙を流すような雨が降っていた。
—
# Instruction (ここから本番)
上記の「良い例」を参考に、以下の文章をリライトしてください。
3. 構造化プロンプトの完成形
Week 2の「C-O-R-F-V」に、今回の「YAML」「マークダウン」を組み込むと、最強のプロンプトが完成します。これがAIディレクターの標準フォーマットです。
- # Context & Objective: 普通の文章で概要を伝える。
- # Role (YAML): 詳細な役割や条件を定義する。
- # Few-Shot (Markdown): 参考例を見せる。
- # Input Data: 処理させたいデータを入れる。
実践演習
それでは、実際に構造化プロンプトを作成してみましょう。
演習課題:議事録の要約とToDo抽出
ダラダラとした会議のメモから、「決定事項」と「ToDo(やること)」だけを抜き出します。YAMLで条件を指定し、マークダウンで出力形式を指定します。
🤖 プロンプト例(構造化完全版)
あなたは優秀なプロジェクトマネージャーです。
以下の[会議メモ]を読み、チームに共有するための要約を作成してください。
# Role_Settings (YAML)
役割: プロジェクトマネージャー
トーン: 簡潔、事実ベース
禁止事項:
– 誰が言ったか(発言者名)は記載しない
– 感情的な発言は除外する
– 憶測を含めない
# Output_Format (Markdown)
出力は以下の形式に従ってください。
## 決定事項
– (決定内容1)
– (決定内容2)
## ToDoリスト
| 担当者 | タスク内容 | 期限 |
|—|—|—|
| (名前) | (タスク) | (日付) |
# 会議メモ
(ここに会議のメモや録音テキストを貼り付ける)
・来月のイベントについてだけど、場所はA会議室でいいかな?
・あ、A会議室は埋まってたのでB会議室になりました。
・じゃあBで決定ね。
・佐藤さん、来週までにB会議室の予約お願いできる?
・はい、やっておきます。10日までにやります。
💡 ポイント
「# Output_Format」の部分で、見出し(##)や表(| | |)といったマークダウン記法を使っています。これにより、AIは指定された通りの美しいフォーマットで回答を出してくれます。
発展:スタイル変換(Few-Shot活用)
マークダウンで「例」を示すことで、AIの文章スタイルをコントロールします。
🤖 プロンプト例(Few-Shot)
以下の[入力]の文章を、[例]のような「共感を呼ぶSNSスタイル」に書き換えてください。
# Examples (Markdown)
—
**入力:** 新商品が出ました。機能が向上しています。買ってください。
**出力:** ✨ついに待望の新作が登場!✨
実は、ご要望の多かったあの機能がパワーアップしているんです💪
あなたの毎日をちょっと楽しくするパートナーとして、ぜひ迎えてみませんか?😊
—
# Input
今度の日曜日に社内清掃があります。朝9時集合です。遅刻しないでください。
まとめ
Week 3では、Week 2で学んだ記法を武器に変える方法を学びました。
- YAMLは、AIへの「厳しいルール設定(役割・条件)」に使う。
- マークダウンは、AIへの「視覚的なガイド(例・形式)」に使う。
これらを組み合わせることで、あなたのプロンプトは「お願い」から「設計図」へと進化します。次回Week 4では、テキスト以外の情報(画像・音声)を扱うマルチモーダル活用に進みます。
✅ 明日から使える3つのポイント
- 条件が多くなったら、迷わずYAML形式(項目: 値)で箇条書きにする。
- 期待する出力形式(表やリスト)があるなら、マークダウンで例を書く。
- プロンプト全体を「# 見出し」で区切り、AIに構造を伝える。
よくある質問
Q1: YAMLのインデント(字下げ)は必須ですか?
A1: プログラミングでは必須ですが、今のAIは賢いので、インデントがずれていても文脈で理解してくれます。ただ、見やすさのために半角スペース2つ分くらい下げると綺麗です。
Q2: 毎回ここまで書かないといけませんか?
A2: いいえ。日常の簡単な質問ならチャット感覚でOKです。この構造化プロンプトは、「絶対に失敗したくない仕事」や「繰り返し使う定型業務」の時に威力を発揮します。
スキルチェックリスト
- ✅プロンプトの中でYAMLを使って条件指定ができる
- ✅マークダウンを使って出力形式を指定できる
- ✅例(Few-Shot)を使ってAIの回答スタイルを制御できる
活用する基礎スキル
- Week 2: デジタル思考①(マークダウンとYAMLの基礎概念)
成果物
- YAMLで役割定義をした議事録作成プロンプト
- Few-Shot(例示)を使った文章変換プロンプト
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