#3: デジタル思考②:構造化プロンプトの実践

#3: デジタル思考②:構造化プロンプトの実践

マークダウンとYAMLを使いこなし、AIに「役割」と「正解」を完璧に伝える

⏱️ 学習時間: 180-240分
📊 難易度: 初級〜中級
🎯 学習スキル: 構造化プロンプト、YAMLによる役割定義、Few-Shot

導入

Week 2では「情報を整理する記法(マークダウン・YAML)」を学びました。Week 3では、その記法を使って、AIへの指示書(プロンプト)をプロレベルに引き上げる技術を学びます。

AIに複雑な「役割(Role)」を与えたり、「例(Example)」を見せたりする時、普通の文章で書くとAIは混乱します。ここで役立つのが、構造化の技術です。「役割はYAMLで、例はマークダウンで」と使い分けることで、AIはあなたの意図を100%理解できるようになります。

💡 この週で得られること

「マークダウン」と「YAML」を実際のプロンプトの中でどう使うかを習得します。これにより、複雑な条件や役割設定を含んだ指示でも、AIが誤解なく実行できるようになります。

この章で登場する用語

📖 この章で登場する用語(復習と応用)

構造化プロンプト 文章だけでなく、記号(#や-)を使って整理整頓された指示文のこと。AIの理解度が格段に上がります。
YAMLでの役割定義 AIへの役割(ペルソナ)指示を、YAML形式(項目: 値)で記述するテクニック。性格や制約条件を漏れなく伝えられます。
マークダウンでの例示 AIに参考例(Few-Shot)を見せる際、見出しや区切り線を使って「ここからここまでが例だよ」と明確にする方法。

学習内容

1. 役割(Role)は「YAML」で定義する

「あなたはプロのライターです」と一行書くだけでは不十分です。どんなライターなのか? ターゲットは? 禁止事項は? これらを普通の文章で書くと長くなり、AIが見落とす原因になります。

そこで、条件設定に強いYAML形式を使います。

❌ 普通の文章(曖昧になりやすい)

あなたはプロのライターとして振る舞ってください。ターゲットは30代の男性で、トーンは少し厳しめでお願いします。あ、でも専門用語は使わないでください。文字数は400文字くらいで。

✅ YAML形式(AIが理解しやすい)

Role_Definition:
職業: プロのライター
ターゲット: 30代男性
トーン: 厳格、論理的
禁止事項: 専門用語の使用
文字数: 400文字前後

💡 なぜYAMLなのか?

AIにとって、YAML(項目: 値)は「設定ファイル」のように見えます。「ここに書かれていることは絶対ルールだ」と認識されやすくなるため、指示を守る確率が格段に上がります。

2. 例(Few-Shot)は「マークダウン」で区切る

AIに「例」を見せるとき、どこからどこまでが例なのか分からないと、AIは例を本文だと勘違いして続きを書いてしまうことがあります。

マークダウンの見出し(#)区切り線(—)を使うことで、「ここは例だよ」「ここからが本番だよ」とAIに視覚的に伝えます。

🤖 プロンプト記述例

# Output Example (出力例)

**悪い例:**
昨日は雨でした。

**良い例:**
昨日は涙を流すような雨が降っていた。

# Instruction (ここから本番)
上記の「良い例」を参考に、以下の文章をリライトしてください。

3. 構造化プロンプトの完成形

Week 2の「C-O-R-F-V」に、今回の「YAML」「マークダウン」を組み込むと、最強のプロンプトが完成します。これがAIディレクターの標準フォーマットです。

  • # Context & Objective: 普通の文章で概要を伝える。
  • # Role (YAML): 詳細な役割や条件を定義する。
  • # Few-Shot (Markdown): 参考例を見せる。
  • # Input Data: 処理させたいデータを入れる。

実践演習

それでは、実際に構造化プロンプトを作成してみましょう。

演習課題:議事録の要約とToDo抽出

ダラダラとした会議のメモから、「決定事項」と「ToDo(やること)」だけを抜き出します。YAMLで条件を指定し、マークダウンで出力形式を指定します。

🤖 プロンプト例(構造化完全版)

あなたは優秀なプロジェクトマネージャーです。
以下の[会議メモ]を読み、チームに共有するための要約を作成してください。

# Role_Settings (YAML)
役割: プロジェクトマネージャー
トーン: 簡潔、事実ベース
禁止事項:
– 誰が言ったか(発言者名)は記載しない
– 感情的な発言は除外する
– 憶測を含めない

# Output_Format (Markdown)
出力は以下の形式に従ってください。

## 決定事項
– (決定内容1)
– (決定内容2)

## ToDoリスト
| 担当者 | タスク内容 | 期限 |
|—|—|—|
| (名前) | (タスク) | (日付) |

# 会議メモ
(ここに会議のメモや録音テキストを貼り付ける)
・来月のイベントについてだけど、場所はA会議室でいいかな?
・あ、A会議室は埋まってたのでB会議室になりました。
・じゃあBで決定ね。
・佐藤さん、来週までにB会議室の予約お願いできる?
・はい、やっておきます。10日までにやります。

💡 ポイント

「# Output_Format」の部分で、見出し(##)や表(| | |)といったマークダウン記法を使っています。これにより、AIは指定された通りの美しいフォーマットで回答を出してくれます。

発展:スタイル変換(Few-Shot活用)

マークダウンで「例」を示すことで、AIの文章スタイルをコントロールします。

🤖 プロンプト例(Few-Shot)

以下の[入力]の文章を、[例]のような「共感を呼ぶSNSスタイル」に書き換えてください。

# Examples (Markdown)

**入力:** 新商品が出ました。機能が向上しています。買ってください。
**出力:** ✨ついに待望の新作が登場!✨
実は、ご要望の多かったあの機能がパワーアップしているんです💪
あなたの毎日をちょっと楽しくするパートナーとして、ぜひ迎えてみませんか?😊

# Input
今度の日曜日に社内清掃があります。朝9時集合です。遅刻しないでください。

まとめ

Week 3では、Week 2で学んだ記法を武器に変える方法を学びました。

  • YAMLは、AIへの「厳しいルール設定(役割・条件)」に使う。
  • マークダウンは、AIへの「視覚的なガイド(例・形式)」に使う。

これらを組み合わせることで、あなたのプロンプトは「お願い」から「設計図」へと進化します。次回Week 4では、テキスト以外の情報(画像・音声)を扱うマルチモーダル活用に進みます。

✅ 明日から使える3つのポイント

  • 条件が多くなったら、迷わずYAML形式(項目: 値)で箇条書きにする。
  • 期待する出力形式(表やリスト)があるなら、マークダウンで例を書く。
  • プロンプト全体を「# 見出し」で区切り、AIに構造を伝える。

よくある質問

Q1: YAMLのインデント(字下げ)は必須ですか?

A1: プログラミングでは必須ですが、今のAIは賢いので、インデントがずれていても文脈で理解してくれます。ただ、見やすさのために半角スペース2つ分くらい下げると綺麗です。

Q2: 毎回ここまで書かないといけませんか?

A2: いいえ。日常の簡単な質問ならチャット感覚でOKです。この構造化プロンプトは、「絶対に失敗したくない仕事」や「繰り返し使う定型業務」の時に威力を発揮します。

スキルチェックリスト

  • プロンプトの中でYAMLを使って条件指定ができる
  • マークダウンを使って出力形式を指定できる
  • 例(Few-Shot)を使ってAIの回答スタイルを制御できる

活用する基礎スキル

  • Week 2: デジタル思考①(マークダウンとYAMLの基礎概念)

成果物

  • YAMLで役割定義をした議事録作成プロンプト
  • Few-Shot(例示)を使った文章変換プロンプト
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