#2: デジタル思考①:情報の整理整頓

#2: デジタル思考①:情報の整理整頓

AIに「正しく」伝えるための共通言語を学ぶ

⏱️ 学習時間: 180-240分
📊 難易度: 初級
🎯 学習スキル: 構造化、マークダウン、YAML、C-O-R-F-V

導入

Week 1では「思考法」の全体像を学びました。Week 2では、その土台となる「デジタル思考」を実践します。

私たちが普段使う日本語は、実はとても曖昧です。「いい感じにまとめて」「早めにお願い」といった言葉は、AIには通じません。AIに意図を100%伝えるためには、情報を整理し、「AIが理解しやすい形式(構造)」に変換する必要があります。

💡 この週で得られること

曖昧な指示を卒業し、マークダウンYAMLといったシンプルな記法を使って、AIから最高品質のアウトプットを引き出す「プロンプト作成スキル」の基礎が身につきます。

この章で登場する用語

📖 この章で登場する用語

構造化 (Structuring) 文章をダラダラ書かず、見出しや箇条書きを使って整理すること。
マークダウン (Markdown) 記号を使って「ここは見出し」「ここはリスト」とAIに伝える書き方。
YAML (ヤムル) 「項目名: 値」のペアでデータを記述する方法。AIへの条件指定に最強の効果を発揮します。
C-O-R-F-V 効果的なプロンプトを作るための5つの要素(背景、目的、役割、形式、検証)。

学習内容

1. 曖昧さをなくす「5W1H」の徹底

AIへの指示がうまくいかない最大の原因は「前提条件の欠落」です。人間同士なら「あれやっておいて」で通じますが、AIには「文脈」がありません。まずは5W1Hを使って情報を洗い出しましょう。

要素 曖昧な指示(Bad) 構造化された指示(Good)
When (いつ) 早めに 12月10日(火)の14:00までに
Where (どこで) ネットで Zoom(オンライン会議室)にて
Who (誰が/誰に) みんなに 入社3年目以内の若手社員に向けて
What (何を) メール書いて 研修案内のメール文章を作成して
Why (なぜ) 大事だから セキュリティ事故防止の意識向上のため
How (どのように) いい感じで 親しみやすく、かつ参加必須であることが伝わるトーンで

2. AIに伝わる魔法の記法:マークダウンとYAML

ここがWeek 2の最重要ポイントです。AIは文章の「見た目」ではなく「記号」で構造を理解します。プログラミングの知識は不要です。以下の2つだけ覚えてください。

📝 マークダウン (Markdown)

文章の「見出し」や「箇条書き」を記号で表す方法です。

# 大きな見出し (タイトル)
## 中くらいの見出し- 箇条書き1
– 箇条書き2

👉 AIへの効果: 文章の構成を一瞬で理解させることができます。

🏷️ YAML (ヤムル)

「項目名」と「内容」をセットにする書き方です。

ターゲット: 若手社員
文字数: 300文字以内
トーン: 親しみやすい
禁止事項: 専門用語の使用

👉 AIへの効果: 条件や制約を「データ」として厳密に守らせることができます。

💡 なぜこれが重要なのか?

普通の文章で「〜してください。あと〜もしないでください」と長く書くと、AIは途中の指示を見落とすことがあります。YAML形式(箇条書き)にすることで、AIは全ての条件を「守るべきルール」として認識しやすくなります。

3. 鉄板フレームワーク:C-O-R-F-V

効果的なプロンプトには型があります。BestAI Programでは、以下の5要素を含めた「C-O-R-F-V」を推奨しています。

  • Context (背景): 何の業務で、どんな状況なのか?
  • Objective (目的): 最終的に何を得たいのか?
  • Role (役割): AIにどんな立場で振る舞ってほしいか?
  • Format (形式): どのような形で出力してほしいか?(表、リスト、コードなど)
  • Validation (検証): 出力が正しいかどう判断する基準は?

実践演習

では、学んだ「マークダウン」「YAML」「C-O-R-F-V」を使って、実際の業務プロンプトを作成してみましょう。

演習課題:メール作成の自動化

以下のシナリオに基づき、AIに指示を出してください。

📝 シナリオ
あなたは総務部の担当者です。来週行われる「セキュリティ研修(オンライン)」の案内メールを全社員に送る必要があります。参加は必須で、欠席者は後日録画を見てもらう必要があります。これをAIに書いてもらいましょう。

🤖 プロンプト例(コピーして使用可能)

あなたはプロの広報担当者です。以下の情報(YAML形式)に基づき、社員向けの案内メールを作成してください。

# Context (背景)
– 目的: 社内セキュリティ研修の受講率を100%にすること
– 対象: 全社員
– 課題: 忙しい社員も多いため、重要性を伝えつつ簡潔にしたい

# Objective (目的)
研修への参加、または録画視聴を促す案内メールの作成

# Role (役割)
丁寧だが、毅然とした態度の総務担当者

# Format (形式)
– 件名: 【重要/必須】から始める
– 本文: マークダウンで見出しをつけ、読みやすく構成する

# Input Data (条件 – YAML形式)
日時: 12月10日(火) 14:00-15:00
場所: Zoom (URLは後送)
内容: パスワード管理と標的型メール対策
重要事項:
– 参加必須
– 欠席者は後日アーカイブ視聴が必要
– 視聴後にテストあり

# Validation (検証基準)
– 「必須」であることが件名と本文で伝わるか
– 日時などの重要情報が箇条書きで見やすいか
– 威圧的すぎず、協力をお願いするトーンになっているか

まとめ

Week 2では、デジタル思考の基礎である「情報の構造化」を学びました。AIは曖昧な言葉を嫌います。マークダウンで見出しを作り、YAMLで条件を指定する。 これだけで、AIのアウトプット品質は劇的に向上します。

これはプログラミングではなく、AIに対する「マナー」のようなものです。この共通言語を身につけた皆さんは、もうAI初心者ではありません。

✅ 明日から使える3つのポイント

  • 指示出しは「5W1H」で埋めてからAIに投げる。
  • 条件(ターゲットや文字数)は「YAML形式(項目: 値)」で箇条書きにする。
  • プロンプトの構成は「C-O-R-F-V」の型を守る。

よくある質問

Q1: マークダウンの記号(#や-)は全角でもいいですか?

A1: 基本的には「半角」推奨ですが、最近のAIは賢いので全角でも理解してくれます。ただし、半角スペースを入れる(例: # 見出し)のが最も確実な作法です。

Q2: C-O-R-F-V全部書くのは大変です。

A1: 簡単なタスクなら全て埋める必要はありません。しかし、「Format(形式)」と「Role(役割)」を指定するだけでも結果は大きく変わります。重要な仕事の時だけフルセットを使う、という使い分けでOKです。

スキルチェックリスト

  • マークダウンを使って見出しや箇条書きを作れる
  • YAML形式(項目: 値)で条件を指定できる
  • C-O-R-F-Vフレームワークを使ってプロンプトを作成できる

活用する基礎スキル

  • Week 1: 3つの思考法の全体像(デジタル思考の位置付け)

成果物

  • C-O-R-F-V形式で作成した業務プロンプト(3パターン)
  • AIが生成した案内メールの下書き
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