#9: 思考法の統合実践
「ミッション・タスク・デジタル」を連結させ、難問を攻略する
📊 難易度: 中級
🎯 学習スキル: 統合的思考、プロンプトチェーン、複雑課題解決
導入
Phase 1(Week 1-8)で、皆さんは「伝える力(デジタル)」「分ける力(タスク)」「導く力(ミッション)」という3つの武器を手に入れました。
しかし、現実の仕事は「メールを書いて」のように単純ではありません。「チームの空気が悪い」「新人が育たない」といった、正解がなく、どこから手をつけていいか分からない課題がほとんどです。
Week 9では、この3つの武器を合体させ、巨大なボス(複雑な課題)を倒すための「コンボ技(統合実践)」を、ライブ形式で学びます。
「何をしていいか分からない」状態から、AIと対話しながら課題を整理し、最終的に「今日やるべき具体的な作業」にまで落とし込む一連の流れ(思考の型)を習得します。
この章で登場する用語
学習内容:ライブ実演「泥沼のプロジェクトを救え」
今回は、あるマネージャーの苦悩を例に、思考法をどう組み合わせるかを見ていきます。
あなたは5人のチームリーダーです。「メンバー全員が毎日2時間以上残業していて疲弊している。でも仕事は減らない。どうにかして定時退社できるようにしたいが、何から手をつけていいか分からない」という状態です。
Step 1: 失敗例(いきなりデジタル思考)
焦っていると、つい「手段(How)」から入ってしまいます。AIにいきなり解決策を聞いてみます。
1. 業務の優先順位をつける
2. ノー残業デーを設ける
3. タスク管理ツール(Trelloなど)を導入する
4. コミュニケーションを円滑にする
「それは分かってるけど、できないから困ってるんだよ!」と言いたくなる回答です。これはAIのせいではなく、こちらの**「目的(ミッション)」と「現状分析(タスク)」が抜けている**からです。
Step 2: ミッション思考で「壁打ち」する
まずやるべきは、AIに答えを求めることではなく、AIと一緒に「現状と理想」を整理することです。
あなたは「組織改善のプロ」です。以下の現状に対し、いきなり解決策を出すのではなく、「ボトルネックを特定するための質問」を3つしてください。
現状:
– メンバー5名、全員毎日2時間残業
– 業務内容は事務処理と問い合わせ対応
– 「忙しい」が口癖で、改善の話をする時間もない
1. 残業の発生源は「突発的な業務」ですか?それとも「定型業務の量」が単純に多いのですか?
2. メンバー間で業務の偏りはありますか?
3. 3ヶ月後、どういう状態になっていれば「成功」と言えますか?(KGIの設定)
AIからの質問に答えることで、「あ、実は定型業務が多すぎるのが原因だ」や「3ヶ月後に全員が定時で帰れるのがゴールだ」といったミッション(目的)が明確になります。
Step 3: タスク思考で「戦略」を立てる
原因(定型業務過多)とゴール(3ヶ月後に定時退社)が決まりました。次は、そのギャップを埋めるための「工程表(WBS)」をAIに作らせます。
目標は「3ヶ月後に定時退社を実現する」こと。
これを実現するための「3ヶ月間のアクションプラン」をWBS(箇条書き)で提案して。いきなり業務を減らすのは無理なので、段階を踏んで。
Phase 1: 現状の可視化(Week 1-2)
– 業務時間の記録(何に時間を使っているか)
– 「やめる業務」「自動化する業務」の仕分け
Phase 2: 小さな自動化(Week 3-8)
– 問い合わせ対応テンプレートの作成
– よくある入力作業のAI化
Phase 3: 業務フロー変更(Week 9-12)
…
Step 4: デジタル思考で「実行」する
最後に、WBSの中にある具体的なタスク(Phase 2の「テンプレート作成」など)を、AIに実行させます。ここでWeek 2-3のプロンプト技術を使います。
よく来る質問は「納期の確認」「請求書の再発行」の2つ。
お客様に失礼がなく、かつ要件だけを簡潔に伝える返信テンプレートを書いて。
1. 納期確認への返信:
件名: ご注文の納期につきまして
〇〇様、いつも大変お世話になっております。…
ご覧の通り、「漠然とした悩み」→「原因特定(ミッション)」→「計画策定(タスク)」→「実作業(デジタル)」と、プロンプトを連鎖させることで、難問が具体的な成果物に変わりました。これが「思考の統合」です。
実践演習
それでは、あなた自身が抱えている「複雑な課題」を、このフローで解決してみましょう。
演習課題:あなたの「悩み」をプロジェクト化する
仕事でもプライベートでも構いません。「どうしたらいいか分からない」と思っていることを1つ選び、AIに相談することから始めてください。
🤖 プロンプト例 1(壁打ち開始)
私は今、[悩みの内容] という課題を抱えています。
あなたはプロのコンサルタントとして、解決策を出す前に、**「問題の本質を特定するための質問」**を3つしてください。
一緒に考えながら、解決へのロードマップを作りたいです。
AIからの質問に答えるだけで、驚くほど頭が整理されます。「質問に答える」→「提案された計画を見る」→「その中の1つを実行させる」。このリズムを体得してください。
まとめ
Week 9では、3つの思考法を統合する「型」を学びました。
AI活用とは、単にプロンプトを打つことではありません。「AIと対話しながら、混沌とした状況を秩序ある計画に変え、実行するプロセス」そのものです。このプロセスを回せる人こそが、これからの時代に求められる「AIディレクター」です。
- 困ったらまず「壁打ち」から始める。いきなり答えを求めない。
- 「ミッション(なぜ)→タスク(何を)→デジタル(どうやる)」の順序を守る。
- AIの出力を繋げていく「プロンプトチェーン」を意識する。
よくある質問
Q1: AIとの壁打ちは時間がかかりませんか?
A1: 最初の数回は時間がかかるように感じるかもしれません。しかし、一人で何日も悩んで手が止まる時間に比べれば、30分の壁打ちで方向性が決まる方が圧倒的に効率的です。
Q2: 途中でAIの回答がズレてきました。
A2: 会話が長くなると、AIは最初の目的を忘れがちです。そんな時は「これまでの経緯を無視して、もう一度目的に立ち返ってください」や「目的は〇〇であることを思い出して」と指示し直しましょう。これを「再定義」と呼びます。
スキルチェックリスト
- ✅AIを「壁打ち相手」として使い、課題を整理できる
- ✅ミッション→タスク→デジタルの順で、AIへの指示を連鎖させられる
- ✅AIが出した計画(WBS)から、具体的な作業プロンプトを作成できる
活用する基礎スキル
成果物
- AIとの壁打ちログ(課題整理プロセス)
- 解決までのアクションプラン(WBS形式)
- プラン内の具体的タスクを実行した成果物(メール案など)
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